海龍のつぶやき - Mumbles by the SeaDragon -

◆Date:2009年06月
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西スマトラ州での炭鉱事故

2009/06/19


 海龍はにとって 炭鉱開発は 自分のインドネシア生活の原点でもあるので 炭鉱事故というのは他人事ではない気がするのだが、この事故はある意味で非常にインドネシア的な事故なので ちょっと 解説記事を書いてみようと思い立った。

 まずは 判りやすいように じゃかるた新聞の報道を載せておこう。 またまた じゃかるた新聞らしいと言えば それまでなのだが、報道記事で重要な大原則 5W1H の一つの WHEN が抜けてますねぇ・・・

 この事故が起こったのは 6月15日のことです。 ですから 「15日におきた 西スマトラの炭鉱事故で・・・」 と書けば 追加報道 ということで 形になってくるんですけどね。 まあ、じゃかるた新聞の記事内容は毎度のことだし、それを批判するのが目的ではないので この件はこの辺にしておきますか。

過去最悪の炭鉱事故に

西スマトラ ガス爆発死者31人
換気なく手作業で採掘


2009年6月19日
 西スマトラ州シジュンジュン県コト郡ブキット・ブアル炭鉱の爆発事故の死者は18日までに31人に上り、鉱業エネルギー省は同日、インドネシア国内で 発生した炭鉱事故として過去最悪になったと発表した。手作業で石炭を掘り崩していた地元住民たちは、迷路のような坑道に充満したメタンガスの爆発で吹き飛 ばされた。地元自治体は同地区にある計10カ所の炭鉱の採掘中止を命じ、鉱業エネルギー省とともに事故再発に向けた対策を講じる方針を明らかにした。
 
 鉱業エネルギー省の調べによると、爆発が発生したブキット・ブアル炭鉱は、国営鉱山会社ブキット・アサム社が操業するオンビリン炭鉱から約10キロの山間部にある。数十人の地元作業員が手作業で炭層を掘り起こし、手押し車で石炭を搬出していた。

 炭鉱入り口から約150メートル奥まで掘り進み、坑道は縦横に張り巡らされている。坑内は家庭用の照明器具をコードで結び、かろうじて手元が見える程度の明かりを確保。換気はまったくなく、酸素濃度は最低限の水準だったという。

 採掘で発生するメタンガスが充満し、可燃する濃度に達していたところ、照明の漏電か作業で生じる摩擦で爆発が発生、一瞬のうちに坑内に燃え広がったとみられる。18日までに全身やけどなどで死者31人が確認され、重軽傷者13人のうち10人が病院で治療を受けている。

 同省鉱物・石炭・地熱総局のマンガンタル・マルパウン技術環境局長によると、この炭鉱の歴史は古く、オランダ植民地時代にさかのぼる。被害者の多くは祖父の世代から代々炭鉱で働く地元住民だった。

 ブキット・アサム社が最先端の技術を導入して近隣のオンビリン炭鉱の開発を始めたが、住民は採掘を止めず、同市は地場企業ダスラット社を設立して住民を管理下に置いた。

 しかし、市の監視員が2007年、「メタンガス濃度が基準値を超え、危険な数値に達している」と警告。以来、閉山を強いられると恐れた住民が監視員の立ち入りに猛反発し、市長が発令した採掘禁止令を無視して作業を続行していた。

 この炭鉱で採掘される石炭は、オンビリン火力発電所の燃料になっているが、ブキット・アサム社の供給量と比べると微々たるもので、住民の生活の糧となっているに過ぎないという。

 マンガンタル局長は「小規模な爆発事故は多発しているが、大規模な爆発で31人もの死者が出た事故は過去に例がない。地方自治拡大で市役所が単独で炭鉱管理を担当するようになり、中央政府の監視が行き届かなくなったことが背景にある」と話す。

 安全基準を満たさずに運営している炭鉱は全国各地に点在し、中部カリマンタン州では州内450カ所のうち許可を取得しているのは10%のみ。

 しかし、住民が採掘しているカリマンタン島の炭鉱は、数メートルの坑道しか掘らず、ブキット・ブアル炭鉱のように150メートルまで達するものは他地域にはない。炭層を重層的に掘っていく伝統的な柱房式採掘法を採用し、通気設備などは完備していないという。

  マンガンタル局長は「ブキット・アサム社にある作業員訓練所に住民を招いて研修を実施し、安全管理に必要な最低限の知識を伝える予定。地下に掘り進んでい く日本の坑内掘りとは異なり、スマトラやカリマンタンの小規模な炭鉱は、ほぼ並行に掘り進む採掘法。ショッピングモールで使われているような通気設備でも 事故防止に役立つので、購入を呼び掛けていきたい」と述べた。


註 : 傍線は 海龍によるもの


 スマトラ島はご存知のように中央のかなり西側を背骨のように山脈が通っている。 まあ西側が背中で東側が腹側といったところか。 この山脈の南半分あたりの東側丘陵地帯が カリマンタン島 バリクパパン北西部一帯とならぶ インドネシア有数の 石炭埋蔵地帯なのだ。

 オランダ植民地時代から 西スマトラ州の オンビリン炭鉱が有名で、国営石炭公社が運営していたのだが、ここは インドネシアでは数少ないというよりも 多分 ここだけだったと思うのだが、「坑内彫り」で知られていた。

 その後、南スマトラ州 のタンジュン・エニムで細々と露天掘りをしていた炭鉱が 1980年台前半から当時の西ドイツの露天掘り技術を 各国の制度金融を利用して導入して成功した。 このプロジェクトの為に国営石炭公社から 分社化して設立されたのが PT Tambang Batubara Bukit Asam (PTBA) なのだが、現在では PTBA が 国営石炭公社を吸収してしまったのだから プロジェクトは成功どころか 大成功だったと言えるのであろう。


 少し 横道にそれたので本題に戻そう。

 ↑の記事を書いた記者さんが 本当に理解して書いたのか たまたまなのかは 判らないのだが、記事で海龍が傍線を引いたところに注目して欲しい。

 作業をしていた人達のことを 従業員とか 現地従業員とか作業員と書かずに地元住人と書いてあるのに注目して欲しい。 話はインドネシアらしく そんなに単純ではないし、この事故があった場所の特定事由を知っている訳ではないのだが、日本式、いや世界的な感覚で端的に言ってしまえば 住民による不法採掘 なのだ。 もう一度 記事を読み直して貰えれば なんとなくそんな感じがにじみでているのが判ってもらえると思うのだが・・・

 記者さんが 全てを理解した上でこのような表現の記事を書かれたとしたらたいしたものなのだが、違法もしくは 不法 と単純に言い切ってしまえないところが まさにインドネシア的なのである。


 17日の秒コムで現地 Sawahlunto 市長 Amran Nur 氏が彼らは不法採掘者であった旨のコメントをだしてるんだけれども、 植民地時代からの採掘で 言わば 日本の「入山権」みたいなものが なんとなく成立しっちゃっていたんですね。 このあたりをはっきりさせなかったのが オランダ植民地政策で その流れを汲む現在のインドネシア。 

 河川敷などは違法住民の違法建築物で溢れかえっているし、所有権の紛争で長い間利用されていない土地はいつのまにか 違法住民によるスラムとなっている。 高速道路の架橋下もそうですね。 これを取り合えずは害がないから (本当は処理するのが面倒だから?)とほって置くから それが一種の権利化されちゃううんですよ。

PT Dasrat Palawi が全く事故に対して企業責任ウンヌンの話がでてこないのも ここに理由がある。 もともとは きちんとした採掘をするために 正規の採掘権をここにもたせて管理しようとしたらしいのだが、地元住人の大反対で 結局 安全基準を守る事という条件で 彼らが入山して採掘することを認めてしまっている。 だから 一概に 違法とか不法とかも言えない事情なのだ。

 で、不法採掘の程度がどのくらいかと言うと 西スマトラの炭鉱の採掘権をかなり保有している PTBAがこのまま不法採掘が続くと この地域で雇用している正規従業員を100人近く解雇せざるを得ない・・・などと言い出す規模なので 全体規模が想像できるだろう。 勿論 地元住民がやる以上のことを 組織的に不法行為をしている連中がいるのは簡単に想像できる・・・。

 
 2m程度の大きさで100mも掘り進めば ガスの問題は当然なのだけれど、石炭粉塵というのは常に大爆発の危険があるものなのだ。 坑内の電灯は 防爆仕様で、防爆仕様と防塵仕様ではかなり程度がことなるし、当然値段もことなる。これは業界では常識らしいが、 若き日の海龍はこうした常識にも若干(いや かなり)欠けており、石炭貯蔵施設内の照明・電気関係の仕様をはじめて目にしたときにはここまでするかぁ?と びっくりしたものだ。 (現場の主任技師・監督さん達からは だから学士先生はぁ・・・と馬鹿にされました、グスン)

 いくら安全管理と言っても そんな金のかかること 田舎のオッちゃん・兄ちゃんたちがきくわけがない。 そんなことを言う会社・役所の人間は嫌われる。 まあ こうした大事故でも起きない限り それがずっと続くのでしょう。 自業自得とってしまえば それでも済みお話ではある。

 ところが、これまたインドネシア的というのか、なんと西スマトラ州知事が昨日、被害者一人当たりに5百万ルピアのお見舞金を出すと発表したのだ。 海龍の感覚から言えば 泥棒に追い銭 なのだが、どうもSBY がらみの大統領選挙に利用されたようだ。 こんなことをしているから駄目なんだけど どこかの国の馬鹿首相は 全国民相手に万札をばらまいたから あまりインドネシアのことは言えない。
 
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[2009/06/19 記]  

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